お部屋コーディネート施工例#447

長野県安曇野市 O様邸 施工例

~150年の歴史と、異文化が生み出す調和~

O様が初めてご来店されたのは6月のこと、ご実家のリフォームに伴いカーテンを探しているとのことでした。

伺うところによるとO様のご実家は江戸末期に建てられた家で、ざっくり遡っても築150年ほどということになります。

リフォームも昔ながらの梁や広縁を活かして、塗り直された真っ白な漆喰の壁が印象的な古式ゆかしい住宅です。

O様が選ばれた、洋でありながら和にも溶け込み、雰囲気を崩さずそれでいて独創的な生地のチョイスは、私にとっても大変勉強になり新しい価値観になるものでした。

今回はそんな異文化の交流のような施工例をご案内いたします。

1F 居間

掃出し窓にはイギリスのブランド「オーラカイリー」のドレープカーテンを選んでいただきました。

比較的大きくてポップな柄ですが、色彩は「生成り×黄土色」なので不思議と漆喰の壁と組み合わせるとしっくりきます。お客様と現場で柄合わせをした際も、その調和の良さからすんなりと決まったほどでした。

大きな柄を活かしつつ、適度なウェーブを出すためワンタック縫製にて仕上げました。



居間のもう一か所ある腰高窓には、同じくオーラカイリーの別柄を選んでいただきました。

こちらも柄のパターンは先ほどのカーテンと同じですが、色数を増やしてより遊びのある柄になります。

それでもトーンは抑え目なので悪目立ちせず、いいアクセントになっております。

レースカーテンはお客様が持ち込まれた物を再利用し、カーテンレールは毎日の使い勝手を意識してTOSOのエリートを取付いたしました。



発売から50年間マイナーチェンジをしながら続くロングセラーのカーテンレールです。

カラーバリエーションも豊富で、今回は柱や梁の色に合わせてNダークマホガニーをお選びいただきました。

使用生地 ドレープカーテン:オーラカイリー「ツーカラーステム:オリーブ」「オーバルフラワー:シーグラス」

カーテンレール:TOSO エリート Nダークマホガニー

1F 台所

台所の小窓にはロールスクリーンを枠内付けしました。

外からの視線というより日差しを遮ることが目的なので、フラットな生地をスッキリまとめられるロールスクリーンをお勧めして選んでいただきました。



部品色も生地の色もダークブラウン系でまとめて、木枠の色とピッタリ合わせられました。

また、勝手口にはレースカーテンを枠内付けしております。



ここはロールスクリーンだと暗くなりすぎるし、かといって何もつけない訳にはいかないということでレースカーテンをチョイス。

ヒダを取ることで厚ぼったく見えがちなカーテンも、枠の中に収めればすっきりした印象にすることが可能です。

こういった枠内につける場合のカーテンレールはTOSOの「ネクスティ」がお勧めです。



レール上面がフラットになっているので、ブラケットを用いず直接取付することで木枠との隙間をなくすことが可能です。

使用生地 レースカーテン:TD9535IV

カーテンレール:TOSO ネクスティ ダークマホガニー

ロールスクリーン:TOSO マイテックループ TR-3036

1F 縁側

改めて、O様邸は江戸末期頃の日本建築となります。

大変古い建築様式になるため、最近の住宅にはあまり見られない「ネマ、オエ、上座敷、下座敷」といった古式ゆかしい部屋割りも見られます。

それらをぐるっと回る様に縁側があり、一辺の奥行きが4間(約7.3m)もありました。

冬場は冷たい風も入りやすいため、断熱性や雰囲気を活かすためカーテンでお選びいただきました。

「床はブラウン、部屋の壁と畳はグリーンならカーテンの色は何がいい?」というご相談で、当初は同系色の無地か中間色のグレーやアイボリーをご提案していました。

しかしそれでは普通過ぎてつまらないということで、ここでもO様のセンスが光ります。



選ばれたのは適度な光沢感と深みのあるパープル。

「紫は高貴な色だから、この空間の雰囲気に合う」という言葉を聞いて、固定概念だけで選んでいた自分の価値観が大きく変わり、落ち着いた和の空間を他とは違う上品な雰囲気にコーディネートできました。



レースカーテンは対照的に、サラッとした織柄で当店でも人気の高いミラーレースをお勧めして選んでいただきました。

ツヤを抑えたマットな生地感とネップ(糸の節)があり、ドレープカーテンの良さを引き出しつつ、和の雰囲気を崩さない仕上がりになったかと思います。

ここでもカーテンレールはエリートを使用しています。

約4mの両開き(=片側で約2m)になってもスムーズにランナーが滑ってくれるので、カーテンの開閉がとても滑らかです。

使用生地 ドレープカーテン:LD-333PU レースカーテン:TD9535IV

カーテンレール:TOSO エリート ダークマホガニー

2F 東側寝室

2階の寝室には2間の大き目な腰高窓があり、ここにはO様がお好きなイギリスのブランド「ウィリアムモリス」のプレーンシェードを取付いたしました。

柄はモリスでの中でも一、二を争う人気の「いちご泥棒(Strawberry Thief)」をお選びいただきました。



収穫期に次々といちごを食べてしまうツグミの姿をモチーフにしたといわれていて、「抜染」といわれる技法によってプリントされた柄は、100年以上の歴史と人気を感じさせてくれます。

柄の豊かさを楽しんでいただくため、カーテンではなくシェードをご提案させていただき、操作性を軽くするため2台に分割することになりました。

しかしここで150年の建築ゆえの悩みが・・・



窓の両側に太い梁がせり出てきて、これに商品の幅を合わせるとどうしても壁と生地の間に3cm程度の隙間ができてしまうのです。

ここはお客様に仕上がりをしっかりとお伝えして、隙間が空くことをご了承していただきました。

築年数が古い住宅の場合、取付金具を付けられる箇所が限定されたり、リフォームをしても窓の左右で高低差が生じていることが多々ございます。

そういった場合はお客様としっかり打ち合わせをして、お互いの認識をリンクさせながら工事を行います。

使用生地 ドレープ:「ウィリアムモリス:イチゴドロボウ(220312)」

2F 西側寝室

もう一方の窓には同じくウィリアムモリスの人気柄「ウィローボウ」を、こちらはカーテンでコーディネートいたしました。

テムズ川の川べりに茂る柳の木々からインスピレーションを受けたもので、デザイナーであるモリス自身も柳の木のモチーフを気に入っていたといわれております。



自然で癖のない色柄は、電球色の暖かな照明と相まって寝室を安らぎの空間にコーディネートしてくれると思います。



レースカーテンはミラーレースのヘリンボーン柄をお選びいただきました。曲線のかかった織柄がウィローボウのパターンとマッチしています。

日中は外からの視線を防いだり紫外線のカット率が高いため、実用性もしっかり兼ね備えております。

こちらのカーテンは、ヒダをたっぷりと取る2倍ヒダで豊かな仕上がりに致しました。

カーテンレールはTOSOの装飾レール「レガート」をお選びいただきました。



レガートは、普通レールの「エリート」に装飾性のあるキャップを付けて、ラウンドしたフォルムにすることで装飾レールのように仕上げています。

色は落ち着いたウォールナットをチョイス。エリートのような実用性を保ちつつ、カーテンを華やかに演出できたと思います。

使用生地 ドレープカーテン:ウィリアムモリス「ウィローボウ(PR7614/1)」 レースカーテン:TD9030IV

カーテンレール:TOSO レガートMセット ダークマホガニー

ゆうあいスタッフからのコメント

いつも遠方からお越しくださっていたO様

貴重な時間を割いていただいてお打ち合わせをしてくださり、誠にありがとうございました。

O様の選ばれるカーテン生地から、とても強いこだわりを感じました。そのお手伝いをさせていただいて、私も大変勉強をすることができました。

今後も敷物や間仕切りなど必要になりましたら、ぜひご相談ください!

ゆうあい松本店 古田