長野県 安曇野市 H様邸 新築工事
~リネン風カーテンで生み出す、安らぎのナチュラルコーディネート~
安曇野市にご新築されたH様。
当店へご来店いただいた際「リネン系の素材が好きなんです」と伺い、カーテンのコーディネートが始まりました。
~リネンとは~
リネン(麻)の歴史はとても古く紀元前にまで遡れるほど、”人類最古の繊維”とも呼ばれ人々の生活に寄り添ってきた天然素材です。
「丈夫でしなやか、使えば使うほど風合いも手触りも良くなる」という性質は、長く使うカーテンにぴったりですね。
おろしたてのリネンは硬さがあってパリッとした手触りですが、使い込んでいくことで「プルプル」と表現されるほど独特の弾力が生まれます。この揺れが窓から吹き込む風にたなびく様子は、リネン好きな方にはたまらないことでしょう(笑)
その一方で、天然素材ゆえに生まれるクセもあります。
カーテン・シェードにする上で最大のネックになる特徴が「伸縮」です。
上の2枚の写真は当店に展示しているリネンカーテンで、左が6月ごろ(夏)の写真、右は1月ごろ(冬)の写真ですが、このように全く同じカーテンでも季節によって丈が変わってしまうのです。
要因はリネンが持つ「吸水性」の高さによるもの。
中空構造の繊維であるリネンは綿など他の素材に比べて吸水性が高く、水分を吸えば吸うほど収縮して固くなり耐久性が上がるという性質がございます。
そのためリネンで出来ているカーテンは、空気中の湿度が高い夏場は重みで丈が延び、冬場は乾燥で軽くなり丈がやや短くなるという現象を引き起こすのです。
こういったまるで生き物のような一面を理解しているとリネンカーテンは愛らしく味のある素材と言えるのですが、常に変わらない状態を希望されている方には少々難があるとも言えますね。
1F LDK
生活道路に面しているH様邸のLDKは窓を全て小窓にされており、ミニマルで可愛い印象でした。
H様は最初からカーテンではなく、ローマンシェードにされることをご希望されていました。開口の小さな窓にはカーテンよりも、ロールスクリーンやシェードの方がよく似合いますね。
「リネンが好きなので、リネン生地でシェードを作りたい」というご希望をいただいたのですが、ここは残念ながら”NO”であることをご説明いたしました。
リネンの特性は上述した通りとなり、縫製した生地をコードで吊り昇降を行うシェードは、リネンの不規則な伸縮性と相性が良くありません。
見た目の悪さに加えて操作不良にもなりかねないためお勧めが出来なかったのです。
事情を知り残念がられていたH様のため、代案でご案内したのが「リネン風カーテン」でシェードをお仕立てする方法でした。
天然素材の対極に位置する「化学繊維」、そしてその筆頭格である「ポリエステル」は現在流通しているカーテンのほとんどに使用されている素材です。
ポリエステルの優れている点は「発色・手触り・艶」が千変万化し、伸縮などの影響が出にくい点につきます。すなわち、加工次第では綿や麻風の生地に化けることが出来るのです。
ご案内した生地は当店オリジナル生地の「トート」
麻特有の色・織りムラを良く再現している生地で、柔らかさもあるのでパッと見はリネン生地にそっくりです。
伸縮の心配がないためシェードを作るのならばこれが一番、そうご案内して「トート」をお選びいただきました。
シェードのフラットな表情は小窓との相性が抜群ですね。畳み上げた際のボリュームもカーテンより抑え目です。
カーテンのようなボリューム感を抑えて、室内を広く感じさせる効果も出ていると思います。
窓のスッキリさを活かすためにレースもシェードでお仕立てしております。
こちらの生地も当店オリジナルの「TD9535IV」というもの。
一見ごく普通の無地ですが生地全体に節やネップが表れる質感で、この風合いは天然素材がお好きな方にはとてもお勧めです。
シャリっとした手触りなので、和洋問わずシチュエーションを選ばず合わせられる万能選手です。
1F サンルーム
リビングに併設されたサンルームは引き戸で仕切られています。南向きで日当たりの良いこの部屋は洗濯物を干すにはぴったりの位置ですね。
その一方で生活道路に面しているので、「日当たりの良さ+高いプライバシー保護性」を両立させる必要がありました。
そこでご紹介したのは「ウェーブロン機能付きレースカーテン」です。
日本が誇る繊維メーカー「帝人フロンティア」が開発したこの繊維は断面が扁平なので、通常のレース生地に比べて外からの視認性を下げることが出来るのです。
ウェーブロンの優れる点はその性能が夜間にも発揮されるため、レースカーテン一枚のままでも室内の様子が外へ透けにくくなることです。
お選びいただいたのは当店オリジナルの「コモドNL」
H様のサンルームの場合引き戸でリビングとサンルームを閉め切れますが、夜間に洗濯物を回収する際、外から室内が見えてしまうリスクを大幅に軽減することが出来ました。
またサンルームにはもう一つギミックをご提案しております。
一般的なレースカーテンにはタッセルが付かないのですが、メーカーに依頼して共生地のタッセルを別注致しました。
レースのみなので窓の開け閉め時は風にあおられないよう、カーテンを束ねるタッセルがあると便利ですね。
目立ちにくい箇所ですが、統一感を高めることが出来る、カーテン屋らしさのあるご提案をさせていただきました。
1F 洋室
洋室は引き戸を開けるとリビングとつながる空間のため、リビングのシェードと同じ生地でカーテンをお仕立ていたしました。
同じ生地でもカーテンとシェードで印象が異なりますね。
開け閉めのしやすさやお洗濯など含めて、カーテンスタイルはメンテナンス性に優れています。
2F 洋室
2階の洋室はH様の寝室で、生地はリビングと同じ「トート」をお選びいただきました。
ただし色味はリビングがクールグレイ系だったのに対して、暖かみあるウォームベージュ系に変えております。
ゆっくりとくつろぐ寝室は、優しい色でまとめると落ち着く印象になりますね。同じ生地で部屋ごとに色だけ変えてみるコーディネートは、まとまりがありながら変化をかけられるオススメのコーディネートです。
2F 洋室②
2階には和室が一部屋あり、こちらはH様のお母さまのお部屋となります。
フローリングと異なり、直接座っても冷たくなく、適度な弾力がある畳は日本人に最も馴染みある床素材。いつの時代も年代問わず人気ですね。
従来なら窓には障子を付けるのが一般的ですが、昨今はカーテンにされる方も多く、生地感も和室向きなものも充実しています。
今回お母さまのお部屋に納めたドレープカーテンは当店オリジナル生地の「ブリーズBE」。
ざっくりした平織の生地はマットな手触りで、異なる色味の糸を複数織っているので単調にならないのがポイントですね。
「明るい色で冷たくないようにしたい」というポイントに合わせて、今回は淡いベージュカラーをお選びいただきました。
レース生地もツヤ感抑え目のオリジナル生地「AL-1022NL」をチョイス。
そばだった織りムラ生地は和室にもなじみやすく、さらっと軽い印象ですね。
ミラー生地なので畳の日焼け対策も出来ており、実用性・コーディネートを両立できる組み合わせとなりました。